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2009年08月24日
今回は、すたじお緑茶さんの『恋色空模様』(10月30日発売)オープニングムービーを担当させていただきました。
神那島の学院を舞台に、主人公がいい感じにヒロインたちと過ごしているところへ降って湧いたような廃校問題と向き合うストーリー。
…Coming×humming!!といい、どうも田舎の舞台に縁があるようです。
今回は久しぶりに、キャラ紹介+サビといった、標準的な構成で作っています。
このムービーでは、当初から3Dと2Dアニメを求められていたので、全体に組み込むカット数や作画枚数などを制作期間から逆算して決めています。
ムービー中に頻繁に出てくる神那島大橋は、島の象徴とも言えるのですが、この橋の建設が島にとってどういう意味があったのか。その辺を考えながら構成に組み入れています。ちなみに、実在のモデルがありますので、お暇な方は探してみると面白いかも知れません。
すたじお緑茶さんのゲームは基本的に、シリアスな内容でもめちゃくちゃ明るいので、ムービーでは『重たい』シーンと『軽い』シーンの落差を大きくしてみました。
全データです。標準的な作業量と言ったところでしょうか。新規に起こしたデータが多かったので、手間取った感じがしますが。
動画コンテです。
最近手がけたムービーは、ゆっくりしたイントロから入ってタイトル付近からアップテンポになる曲が多いのですが、今回もその例に漏れませんでした。イントロは、ただでさえ掴みとして重要なパートですが、加えてこうした曲の場合は、どうしてもカットが長めになり、じっくり見られてしまう部分ですので気が抜けません。アップテンポだと、CGの分量だけで逃げ切ってしまうことも出来るのですが。
全体の尺を縮小して眺めることで、カットの長さにメリハリがついているかどうかも確認します。単純に音だけでカットの長さを決めてしまうと、単調なムービーになってしまうことが、よくあるからです。
動画コンテはいつもの通りAdobePremiere。
すたじお緑茶さんからOKが出たらAfter Effectsに読み込んで全体のベースとし、編集作業にかかります。
今回から、モデリング専用にメタセコイアを使っています。
『専用』というだけあって、非常に使いやすく、強力なツールです。出来上がったモデルをAutodesk3ds-MAXへ持って行きマッピング、微調整などを行います。
レンダリングにはノンフォトリアリスティックシェーダープラグインのPSOFTPencil+を使用します。
完成した3Dと原画の背景を比較するとこんな感じです。左が原画、右が3Dです。
完成した3Dは、Adobe After Effectsで合成します。
参考までに、光と影の面がはっきり分かれた3D画像を2Dで合成する時に、屋外の夕焼けのような色でグラデーションをかける場合はオーバーレイ合成を、屋内でより陰影を強調したベッタリ感を出す場合は、ビビッドライト合成を使用します。
好みの問題ですので、どっちでもいいのですが。
普通に原画から起こして髪の毛の中割っただけの単純なものです。
教室のカーテンを一カ所、別に描き起こしました。他の固定されているカーテンは3Dそのまんまで動きません。
いつものようにCELSYSSTYLOSで作画、Paint Manで塗り。これを一度3ds-MAXに読み込んで、前段で作った3Dの教室ごとレンダリングします。これを最終的にAfter Effectsで調整しています。
これも、モデリングはメタセコイアで、調整は3ds-MAX。角度や大きさを変えて様々なシーンに使用するので、一定程度、作り込む必要がありました。
背景の海や陸地を合成するため、e-frontierVue6 Infiniteにモデルを読み込んで合成します。
Vue6は『リアルな景観』をウリにしていますが、それでは困る(笑)ので、わざと質の低いプレビューレンダリングを使ったりします。
もう少し時間があれば、雲などは全て手描きにして中空に貼り付けるとかした方が『それっぽく』なるのですが。
佳代子のアニメーション合成のシーンも基本は前段と同じで、最終的な調整はAfter Effectsです。
聖良を背負って歩いていく主人公のシーンをシルエットアニメーションで再現しました。
夕暮れを背景に土手(?)の上を歩くシルエットアニメーションって、どこかで見た気がしますが、気にしないことにします。
STYLOSで作画、After Effectsで合成。背景は、Vue6やらDigitalElementWorldBuilderやらAdobe Photoshopやら、多種多様なソフトで作った素材を寄せ集めています。
やっちゃった感のある『はめ殺し』の扉。
教室のモデルの作成過程ですが、扉を開けたシーンを作ろうとして可動部分を考慮してなかったことに気付きました。
見た目だけで背景を作ろうとするからこういうことになります。しょんぼり。
シーン毎にレンダリングしたファイルを並べて、スタッフクレジットなどを加えて出力すれば出来上がり。